ご無沙汰になってしまいましたが、ちゃんと整理して書いた文章は後から読んで面白いので、普段書き散らしているものをこちらにまとめておく、ということはしておこうと思います。
救命―東日本大震災、医師たちの奮闘―
今年は、2011年(平成23年)3月11日の東日本大震災から10年目。 それと関係なく、いつ買ったかも忘れたくらい前に買った本でしたが、今年に入って読みました。
震災時に尽力した医師たちのインタビュー集とでも言ったもの。2014年発行。海堂尊監修。
海堂尊さんの代表作というべきチーム・バチスタの栄光については下記でも書いていますが、
他も、ほとんど読んでいる状態です。
ジェネラル・ルージュも格好良かった。
尾身茂さん登場
本書で最初に登場するのは、南三陸志津川病院で働いていた医師。親戚のおばさんも通っていた病院ですから、いきなり引き込まれました。その他の医師たちも個性派揃いで、面白いです。
その最初の医師の言葉の中で、唐突に尾身茂医師の名前が登場します。なんの注釈なしで出しても不自然じゃないというくらい、名の知られた、優秀な医師だったんだなと思いました。
「だった」、二通りの解釈ができる言葉ですね。
過去は優秀だったけど、今はそうでない。
優秀ということを、自分は知らなかったけど今知った。
どちらかは敢えて書きません。
オートプシー・イメージング(Autopsy imaging、Ai)
海堂さんの本ですから、いつ出てくるのかと思っていたら、後書きで出てきました。
「チーム・バチスタの栄光」が2006年。震災のあった2011年、それこそ、多数の死者の情報を調べるためには大きな武器となって良ささそうに感じますが、活用されなかった。本書の文庫版が出た2014年でも、海堂さんは怒りをぶちまけている。
正直、なぜこれが広まらないかが、部外者から見ると全くわからないです。
後書きで示唆されているのは、警察組織のプライド?
必要な死後解剖はできる、やっている、ということでしょうか。
分からなくもないですけど、他にやることいっぱいあるでしょう、という感想です。
赤十字社への寄付の活用
さらに重たい話が出てきました。 素人でも想像できるように、市民の善意は日本赤十字社に寄付として託されることが多いと思うのですが、多額の寄付を集めながらそれが活用されずに留保されているという話。
2021年のコロナ禍対策として確保されている予備費が執行されずにいるという件とも繋がるような…
復興予算の流用
もっと重たい話。復興予算という名目に反して、結局直接的な目的とは異なる分野に流用されたという話。
使えるものは使おう、と考えるのはある意味自然な話。けど、それをコントロールするのが政治の仕事。そもそも、復興という状態が曖昧なのはおくとしても、現時点で復興完了と考えるかの認識は問われる。
2021年4月時点で、郡山市の仮設住宅はまだ3戸残っている。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/life/553030_1500410_misc.pdf
2月時点で、宮城県の復旧・復興事業369箇所のうち、完成は259箇所。
https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/837289.pdf
・・・
後書きの中で、ええじゃないか、という言葉も使われていましたが、これからオリンピックというお祭りの中で、まさに狂乱の世界に入っていくのか・・・